Philosophy
教育理念ヒトと環境要因の関連について十分な認識がなくては、疾病の予防、健康の増進は達成できません。実験衛生学の礎は「近代衛生学の父」「実験衛生学の父」と呼ばれ、ドイツ初の衛生学講座を設立してその教授を務めたマックス・ヨーゼフ・フォン・ペッテンコーファーやロベルト・コッホらによって築かれました。ペッテンコーファーは緒方正規や森鴎外のドイツ留学時代の恩師であり、日本の衛生学に大きな影響を与えた研究者です。
19世紀の衛生学者達は大気、水、土壌と人の健康とのかかわりを重視し、疾病の予防や衛生行政の発展に貢献しました。21世紀を迎えた今日も産業の発達・産業構造の変化が次々と多くの問題を生み出しています。近年の環境汚染や職業病などはその一例といえるでしょう。よって医師は基本的な医学知識・技能のみならず、産業化が進んだ現在そしてさらに進んでいく将来を常に考えながら、自然環境、人工環境、労働環境における諸問題に関しての基礎知識や生体影響に関する専門的知識に精通しておく必要があります。衛生学講座は医学部生たちに講義、実習を通してそれらの知識を教育することを目的として教育を行っています。